BKOバカ女将

40歳過ぎにして初婚!嫁ぎ先は老舗の料理屋。若女将になったつもりが実はバカ女将。そんなバカ女将の徒然しない日記です。

はじめてのお客様

さて、わたくしが嫁いだ先はさる神社の参道にあり、大小様々なお店がびっしりと軒を連ねております。

当然日曜・祭日は繁盛期、なかでもお正月は徹夜になる程。。。

結婚前、義父母たちの

『B子さん、年内にはお嫁に来て下さいね』という言葉に

『まぁ!お義父さま、お義母さま、そんなに私の事を気に入って下さったの?』と感激に震えたのは初夏(←バカ)

初めてのご挨拶から、僅か半年あまりの急ピッチで嫁入り。

時にして12月下旬。1週間も経たぬうちに、恐怖の正月はやってきた。

嗚呼、義父母たちは私を気に入ってではなく、単に正月の人手が欲しかったのだ…と気づいたのはその時だった。遅い…つーの"(-""-)"

店の中は戦場さながらの忙しさ。当然ほとんど何も出来ない私は、店の外で土産物などの物販を担当することに。

それにしても寒い!寒い!真冬の外に1日突っ立っていたのは多分人生初めてではないだろうか?それでも正月は縁起物やお土産が飛ぶように売れる。中でもスープウォーマーからカップに注いで売っているアツアツの豚汁は人気が高かった。

私が知らなくても、固定ファンは知っていて『1杯頂戴!毎年買うんだよね』などと言って買って行ってくれる。従業員さんに教えてもらい、ついに私が一人で担当することになった。

不安ながら立っていると、ふと遠くから熱いまなざしをくれるおじいちゃんと目があった。取りあえず何となく微笑み返すと、おじいちゃん嬉しそうに駆け寄ってきた。私の初めてのお客さんだ!

甘酒ちょうだい!

あ、甘酒…!?おじいちゃんが妙に温かい500円玉を私に渡してきた(握りしめていたんだろうな…)

『ごめんなさい、これ豚汁なんです』私が小さくそう言って500円をお返しすると、おじいちゃん分かりやすく肩を落として帰って行った。

スマン…おじいちゃん。初物販に失敗した私も肩をどんより落とした。

今思えば、これが私のデビュー。初めてのお客様だった。